さるやど合戦

 あるところにやどかりがいました。ある日やどかりがリンゴの種を植えました。毎日毎日水をあげると、リンゴの木はぐんぐんのびました。やがて、実が付いてきました。

 やどかりは、実を食べたいけれどとどかないのでさるにとってもらうことにしました。さるに頼んでみるとすぐにいいよと言ってくれました。しかし、さるは自分一人で赤い実を食べてしまおうと考えていました。木に登ったさるはむしゃむしゃとリンゴを食べ始めました。

 なかなかリンゴをくれないのでやどかりは、「早くくれよ。」と言うと、さるは「今やるよ。」と」と青い実を投げつけてきました。「痛い!!」青い実があたったやどかりは泣きながら家に帰りました。

 話を聞いたうにと虻と漬け物石は、やどかりの代わりにさるを退治することにしました。うには囲炉裏の中に、虻は水瓶の中に、漬け物石は屋根の上に潜んでいることにしました。やどかりはリンゴを取ってくれたお礼にさるを家に呼ぶことにしました。

 早速やどかりは、さるを呼びに行きました。「さるくん、この間のお礼をしたいからうちに来てよ。」やどかりがそう言うと、さるは喜んでついてきました。「さあ、どうぞ。」さるは何も知らずに中へ入って行きました。

 「寒いだろう。温かい味噌汁を用意してあるんだ。」さるが囲炉裏に近づくと、火の中からうにが飛び出してきてさるの頭にあたりました。「あちちっっ!!」さるは水瓶に頭を入れました。すると、中から虻が出てきてさるの頭を刺しました。「いてっっ!」さるはあわてて水瓶から頭を出そうとしたら頭が抜けませんでした。やっとの事で頭を抜いたさるは「ちくしょう!!」と言いながら猛スピ−ドで外へ出ようとしました。その瞬間、屋根の上から漬け物石が、ドスンッッ!!と落ちてきました。漬け物石につぶされたさるは、ペチャンコになってしまいました。それを見ていたやどかりは、大笑いしてお腹が痛くなりました。

 ペチャンコになってしまったさるは空高く飛ばされてしまいました。そして、やどかりとうにと虻と漬け物石は、親切な通りがかりのOさんにリンゴを取ってもらい仲良く食べました。その後、さるは、隣の隣の小さな村の小さな木の上に引っかかっているのをOさんが発見したそうです。  

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